平成15年7月11日 持分全部移転登記抹消登記手続等請求事件 最高裁 第二小法廷
*実際の事例では、パン男さんの死亡にパン吉さんが絡んでおり、相続人はパン吉さん含めて4名いました。
ポイントは?
共有者というのは、自分の持分については自由に処分をすることが出来ます。そのため、パン吉さんがカラス田さんへ問題無く売ったのであれば、それをパン美さんが止めることは出来ません。
パン美さんはあくまでも、共有者の一人でしか無いのでパン吉さんが自分の持分をどう処分しようと文句言える立場に無いからです。
ですが、この事例ではパン吉さんは無効とされてしまうような、所有権移転の登記をしていて、それでパン美さんは相続税を支払うことができない(物納が出来なくなった)という都合の悪い状態になっていたのです。
判決では、不動産の共有者は、持分権に基づいて妨害排除請求権を単独でも行使できるという判断をしました。これにより、パン美さんは土地の1/2しか持分権を持っていないのに、パン吉さんとカラス田さんがした登記の抹消を請求できるということになったのです。
関連条文は?
第249条
各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。
第250条
各共有者の持分は、相等しいものと推定する。
第898条
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。