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民法の重要判例をマンガで解説! 国家試験対策にチェックチェック♪

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『JR東海 認知症電車事故訴訟 最高裁判決』をマンガで解説。 認知症患者の徘徊に家族は監督責任を負うの?

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『JR東海 認知症事故訴訟』解説マンガ1ページ目

『JR東海 認知症事故訴訟』解説マンガ2ページ目

JR東海 認知症事故訴訟』解説マンガ3ページ目

『JR東海 認知症事故訴訟』解説マンガ4ページ目

『JR東海 認知症事故訴訟』解説マンガ5ページ目

『JR東海 認知症事故訴訟』解説マンガ6ページ目

『JR東海 認知症事故訴訟』解説マンガ7ページ目

平成28年3月1日 損害賠償請求事件 最高裁 第三小法廷

*実際の事例の事実関係を大幅に簡略化し、結論に影響が無い範囲で事実関係を変更している箇所もあります。 


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ポイントは?

 パン蔵さんは重度の認知症を患っていたのですが、こういった人について民法713条では「精神上の重い障害があって、他人に損害を与えてもその責任を負わないよ」と定めています。

 

 つまり、パン蔵さんが仮に生存していたとしても、パン蔵さん自身は賠償責任は負いません。ところが、これでは損害を受けた側は溜まりません。

 

 そこで、民法714条には「精神上の重い障害がある人が責任を負わない場合は、その人を監督する義務がある人が損害を賠償するんだよ。」と規定されているのです。ハムちゃん鉄道はこの規定を根拠にして、妻のパン美さんと息子のパン吉さんに損害賠償をしたのです。

 

 でも、民法714条には「監督する人が義務をちゃんと果たした場合や、義務を果たしても損害が出る場合はしょうがないよね」とも書かれているのです。

 

 パン美さんは、徘徊防止用に設置していたブザーが頻繁になることから、ブザーを切ってしまっていたり、パン蔵さんが家から出ていける場所にいる状態でうたた寝をしちゃっていたという事実はあります。でも、介護を怠けていたという程ではない気もします。

 

 息子のパン吉さんは離れて暮らしていましたが、介護の方針を立てていたり、実際の事例では息子の妻が、近くに引っ越してきて介護を手伝っていたという事情もあります。

 

 地裁では、パン美さんだけではなく、息子のパン吉さんの責任を認めて損害賠償が命じられました。高裁では、息子のパン吉さんの責任は認められませんしたが、パン美さんに対して損賠賠償を命じる判決が出ました。

 

 そして、最高裁ではパン美さんにもパン吉さんにも賠償責任は無いとしました。理由としては

・家族がパン蔵さんを監督することが可能な状況ではなかった

・パン美さんもパン吉さんも監督義務者で無かった

というものです。

 

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判決文の一部紹介

 

民法752条は,夫婦の同居,協力及び扶助の義務について規定しているが,これらは夫婦間において相互に相手方に対して負う義務であって,第三者との関係で夫婦の一方に何らかの作為義務を課するものではなく,しかも,同居の義務についてはその性質上履行を強制することができないものであり,協力の義務についてはそれ自体抽象的なものである。また,扶助の義務はこれを相手方の生活を自分自身の生活として保障する義務であると解したとしても,そのことから直ちに第三者との関係で相手方を監督する義務を基礎付けることはできない。そうすると,同条の規定をもって同法714条1項にいう責任無能力者を監督する義務を定めたものということはできず,他に夫婦の一方が相手方の法定の監督義務者であるとする実定法上の根拠は見当たらない。したがって,精神障害者と同居する配偶者であるからといって,その者が民法714条1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできないというべきである。

 

ウ 第1審被告YはAの妻であるが(本件事故当時Aの保護者でもあった),以上説示したところによれば,第1審被告YがAを「監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできないというべきである。また,第1審被告YはAの長男であるが,Aを「監督する法定の義務を負う者」に当たるとする法令上の根拠はないというべきである。

(2)

ア もっとも,法定の監督義務者に該当しない者であっても,責任無能力者との身分関係や日常生活における接触状況に照らし,第三者に対する加害行為の防止に向けてその者が当該責任無能力者の監督を現に行いその態様が単なる事実上の監督を超えているなどその監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情が認められる場合には,衡平の見地から法定の監督義務を負う者と同視してその者に対し民法714条に基づく損害賠償責任を問うことができるとするのが相当であり,このような者については,法定の監督義務者に準ずべき者として,同条1項が類推適用されると解すべきである。その上で,ある者が,精神障害者に関し,このような法定の監督義務者に準ずべき者に当たるか否かは,その者自身の生活状況や心身の状況などとともに,精神障害者との親族関係の有無・濃淡,同居の有無その他の日常的な接触の程度,精神障害者の財産管理への関与の状況などその者と精神障害者との関わりの実情,精神障害者の心身の状況や日常生活における問題行動の有無・内容,これらに対応して行われている監護や介護の実態など諸般の事情を総合考慮して,その者が精神障害者を現に監督しているかあるいは監督することが可能かつ容易であるなど衡平の見地からその者に対し精神障害者の行為に係る責任を問うのが相当といえる客観的状況が認められるか否かという観点から判断すべきである。

 

イこれを本件についてみると,Aは,平成12年頃に認知症のり患をうかがわせる症状を示し,平成14年にはアルツハイマー型認知症にり患していたと診断され,平成16年頃には見当識障害や記憶障害の症状を示し,平成19年2月には要介護状態区分のうち要介護4の認定を受けた者である(なお,本件事故に至るまでにAが1人で外出して数時間行方不明になったことがあるが,それは平成17年及び同18年に各1回の合計2回だけであった。)。第1審被告Yは,長年Aと同居していた妻であり,第1審被告Y,B及びCの了解を得てAの介護に当たっていたものの,本件事故当時85歳で左右下肢に麻ひ拘縮があり要介護1の認定を受けており,Aの介護もBの補助を受けて行っていたというのである。そうすると,第1審被告Yは,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが現実的に可能な状況にあったということはできず,その監督義務を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Yは,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。

 

ウまた,第1審被告Yは,Aの長男であり,Aの介護に関する話合いに加わり,妻BがA宅の近隣に住んでA宅に通いながら第1審被告YによるAの介護を補助していたものの,第1審被告Y自身は,横浜市に居住して東京都内で勤務していたもので,本件事故まで20年以上もAと同居しておらず,本件事故直前の時期においても1箇月に3回程度週末にA宅を訪ねていたにすぎないというのである。そうすると,第1審被告Yは,Aの第三者に対する加害行為を防止するためにAを監督することが可能な状況にあったということはできず,その監督を引き受けていたとみるべき特段の事情があったとはいえない。したがって,第1審被告Yも,精神障害者であるAの法定の監督義務者に準ずべき者に当たるということはできない。

 

以上によれば,第1審被告Yの民法714条に基づく損害賠償責任を肯定した原審の判断には,判決に影響を及ぼすことが明らかな法令の違反があり,原判決のうち第1審被告Y敗訴部分は破棄を免れない。この点をいう第1審被告Yの論旨は理由がある。そして,以上説示したところによれば,第1審原告の第1審

被告Yに対する民法714条に基づく損害賠償請求は理由がなく,同法709条に基づく損害賠償請求も理由がないことになるから,上記部分につき,第1審判決を取り消し,第1審原告の請求を棄却することとする。

 

*判決文の引用にあたり、一部(括弧書きなど)を省略している箇所があります。また重要個所を赤字・太字としています。

 

関連条文は?

第713条

精神上の障害により自己の行為の責任を弁識する能力を欠く状態にある間に他人に損害を加えた者は、その賠償の責任を負わない。ただし、故意又は過失によって一時的にその状態を招いたときは、この限りでない。

 

第714条

1.前二条の規定により責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、監督義務者がその義務を怠らなかったとき、又はその義務を怠らなくても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。

2.監督義務者に代わって責任無能力者を監督する者も、前項の責任を負う。

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