昭和61年11月20日 遺言無効確認等 最高裁判所 第一小法廷判決
ポイントは?
不倫相手への包括遺贈は“公序良俗”に反するのか?が争われた事件です。
判決では、以下の点を考慮して判断をしています。
・パン田とワン子は7年間も半同棲状態だった
・ワン子は生活費をパン田に依存していた
・パン田とパン子の夫婦関係はほとんど破綻していた
・パン子へは法定相続分と同等の割合となっていること
・パン美は既に嫁いで仕事もしていて生活に困っている訳じゃないこと
・パン田によるワン子への遺贈は不倫関係の継続を目的にした下心から来るものではなく、ワン子の生活を心配したものだったこと
以上のような事情から、“公序良俗には反しない”と判断したのです。
ちなみに包括遺贈というのは、財産全体から割合を指定して遺贈するものです。財産を特定(例えば「現金100万円」とか「土地・家屋」など)して遺贈するのを特定遺贈といいます。
関連条文は?
第90条
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。