平成10年6月11日 遺留分減殺、土地建物所有権確認請求事件 最高裁 第一小法廷判決
ポイントは?
民法には「隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。」という規定があります。この事件では“到達した時”の基準を巡って争いになった訳です。
“到達した時”というのは、文字通りに読めば、牛田さんが内容証明郵便を現実に受領したときというのが妥当な判断と言えるでしょう。実際のところ、この事件高裁では「内容証明郵便が返送されている以上、遺留分減殺の意思表示は牛田さんにとって了知可能になっているとは言えない」と判断しています。
結論としては、最高裁は高裁の判断を覆しました。
マンガのとおりの事実関係があることから、
・諸々の事情を勘案すると牛田さんは内容証明郵便に記載された内容を推測していた
・受領についても問題無く出来たはず
として、遺留分減殺請求の意思表示は到達していると判断をしました。
なお、似たような事例として“受取拒否”をされた場合は、上記のような事情が無くとも到達したとみなされます。
不在の場合と、受取拒否の場合で到達したかどうかの判断基準が違うことに注意しておきましょう。
関連条文は?
第97条
隔地者に対する意思表示は、その通知が相手方に到達した時からその効力を生ずる。
第1028条
兄弟姉妹以外の相続人は、遺留分として、次の各号に掲げる区分に応じてそれぞれ当該各号に定める割合に相当する額を受ける。
一 直系尊属のみが相続人である場合 被相続人の財産の三分の一
二 前号に掲げる場合以外の場合 被相続人の財産の二分の一