昭和38年2月22日 登記抹消登記手続請求事件 最高裁 第二小法廷
*実際の事例では相続人は4人いました。
ポイントは?
相続というと一般的には話し合いや遺言書で遺産を分割することで完了するというイメージがあると思います。ですが、法律上の理屈としては被相続人が亡くなった時点で、相続人それぞれに財産が相続されています。それぞれが法律上の規定に従った持分があるということになる訳です。
そして、通常は話し合いなどで財産をどう分けるかを話し合って、話し合いの結果に従って財産を分けることになります。マンガの事例ではパン男さんとパン美さんは話しあって土地をどうするのか?と決めて、その後に相続の登記をすることになっていたはずなのです。
ところが、パン男さんは土地は自分一人のものだと偽って、カラス田さんに売ってしまったという訳です。
裁判所の判断としては、パン男さんの持分である1/2の売買については、有効なままとしました。残りの1/2についてはパン男さんは無権利者だったということになり、カラス田さんは登記していても、パン美さんに対抗できないということになりました。
関連条文は?
第177条
不動産に関する物権の得喪及び変更は、不動産登記法その他の登記に関する法律の定めるところに従いその登記をしなければ、第三者に対抗することができない。
第898条
相続人が数人あるときは、相続財産は、その共有に属する。
第899条
各共同相続人は、その相続分に応じて被相続人の権利義務を承継する。