昭和40年5月4日 建物収去土地明渡請求事件 最高裁 第三小法廷
*実際の事例では、パン田さんはハムちゃんに代位して牛田さんに対して建物収去と土地の明渡しを求めていました。
ポイントは?
抵当権を設定した家がある土地に、借地権が設定されていた場合、競売で家の所有権を手に入れた人はどうなるのか?ということで争いになった事例です。
土地と家の所有者は同じ場所に合ったとしても一緒とは限りません。この事例のように、土地を借りてその土地の上に家を建てるという場合もあるのです。
家を競売で手に入れた人は、家の所有権を手に入れるのは当然ですが、土地を利用する権利も得ないと家を使うことが出来なくなって競売の意味が無くなってしまいます。
判決では、抵当権が実行されて家の所有権を手に入れた人は、土地を利用する権利も手に入れるという判断をしました。ハムちゃんはパン田さんに土地を貸す契約をしていますが、当事者同士が何と言おうが競売で家を手に入れた人が、借地権も手に入れてしまうという訳です。
建物は土地を利用する権利と一体となって初めて価値が出るのであって、土地を使えないとなると価値が無くなってしまいます。そこで、抵当権の効力は借地上の建物だけではなくて、借地権も含まれるということとなりました。
関連条文は?
第370条
抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。ただし、設定行為に別段の定めがある場合及び第424条の規定により債権者が債務者の行為を取り消すことができる場合は、この限りでない。