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平成6年12月20日 建物収去土地明渡等請求事件 最高裁 第三小法廷
*実際の事例では、建物の共有者は9人いました。
ポイントは?
地上権というのは、土地に家を建てたり竹木を所有することができる権利ですが、法定地上権といって、地上権が強制的に発生する場合があるのです。それが次の場合です。
・抵当権が設定されたときに土地と家の所有者が同じ
・抵当権が実行されて土地と家の所有者が違う人になった
抵当権が実行されて土地の所有者が変わったからと言って、建物を壊していたら社会的な損失が大きいですし、建物を壊さないとしても、家の所有者は家を残すために土地所有者の言いなりに成らざるを得なくなってしまいます。そんな不都合を避けるために発生するのが法定地上権です。
ただ、今回の事例では土地も家も共有者がいたという事情があります。
判決では、今回のような事例では法定地上権は発生しないと判断をしました。
確かにパン太さんの妻で土地の共有者のパン美さんは、法定地上権が発生することを許容していたかもしれません。ですが、同じようなケースで、共有者が他人同士という場合もあり得るのです。そんなときに、他の共有者の立場になって考えてみると、強制的に地上権付きの土地になってしまうのは避けたいのが普通だという考え方が出来るのですね。
それに共有者同士の人間関係というような事情は、登記簿からわかるようなことではありません。外部から客観的に分かるような事情に基づいて、法定地上権が発生するかどうかを決めないと、土地を競売で手に入れる人も困ったことになってしまいます。そのため、パン美さんがパン太さんの妻で法定地上権成立を容認していたかも?という事情は考慮されないことになったのです。
関連条文は?
第265条
地上権者は、他人の土地において工作物又は竹木を所有するため、その土地を使用する権利を有する。
第388条
土地及びその上に存する建物が同一の所有者に属する場合において、その土地又は建物につき抵当権が設定され、その実行により所有者を異にするに至ったときは、その建物について、地上権が設定されたものとみなす。この場合において、地代は、当事者の請求により、裁判所が定める。