■ブログ版ではここから結末部分は非公開となります。
判例マンガの全編はこちらで見れます♪
<androidアプリ版>
➡お得な買切版!
androidアプリ版は全判例収録でお得!
<note版(iphoneユーザー向け)>
*iphoneユーザーはnote版をどうぞ!
*note版ではこの判例は「債権編」に収録されています。
<Kindle版>
・
*Kindle版ではこの判例は「債券編」に収録されています。
昭和50年3月6日 土地所有権移転登記請求事件 最高裁 第二小法廷
*実際の事例では、パン田さんが土地を売ったのは自分の弟と妹(パン吉さん、パン美さんから見て叔父さん、叔母さん)となっています。
ポイントは?
今回の事例で問題になった“債権者代位権”の典型的な使用例というのは、
・AさんがBさんに1000万円を貸している
・BさんはCさんに1000万円を貸している
という場合に、Bさんがお金が無いことを理由にAさんにお金を返すことが出来ないときに、Bさんに代わってAさんがCさんに対して「Bさんに1000万円を返せ!」と言えるというものです。
もしBさんがお金を持っていれば、わざわざBさんに代位してCさんに請求する必要は無いのですから、債権者代位権はBさんの無資力が要件となっているのです。Bさんは自分がお金を返済してもらっても、それをすぐにAさんに返済しないといけないとなると、頑張ってCさんから返済してもらう気にならないかもしれません。そんなときに使うのが、債権者代位権という訳です。
今回の事例では、パン吉さんはカラス田さんに対して金銭を請求する権利を持っています(これを被保全債権と言います)。カラス田さんはパン美さんに土地の名義変更の登記を請求する権利を持っていて、これが実現するのと引き換えにパン吉さんとパン美さんに代金を支払うことになるのです。そのため、パン吉さんはカラス田さんが持っているパン美さんに対する名義変更の登記請求をしようとしたわけです。
「登記請求権の代位行使の判例」と違うのは、「登記請求権の代位行使の判例」は守るべき債権である被保全債権は登記を請求する権利でした。被保全債権が登記請求権の場合は無資力要件も必要無く、債権者代位権の行使もOKというものです。ところが、この事例で守るべき債権である被保全債権は“金銭”(パン吉さんはカラス田さんに土地の代金を支払ってもらいたい)なのですね。
そして、カラス田さんは“お金が無いから支払わない”訳ではありません。“名義変更の登記をしてもらえない”から支払いをしないのです。こんなときにまで、債権者代位権を行使するのにカラス田さんが無資力であることを求められるのか?というのが論点となったのです。
判決では、まず共同相続人のパン吉さんとパン美さんの両方が名義変更の登記に協力しない限り、カラス田さんは土地代金の支払いをしなくて良いと判断をしました。つまり、パン吉さんが協力していたとしてもパン美さんが協力していないことを理由に、同時履行の抗弁権を認めたのです。その上で、パン吉さんがカラス田さんに代位するときに、カラス田さんが無資力であることは必要ないと判断をしました。
ということで、金銭を請求する権利が被保全債権という場合であっても、今回のような事例であれば債権者の無資力は必須の要件では無い場合もあり得るというのが結論となります。
関連条文は?
第423条
1.債権者は、自己の債権を保全するため、債務者に属する権利を行使することができる。ただし、債務者の一身に専属する権利は、この限りでない。
2.債権者は、その債権の期限が到来しない間は、裁判上の代位によらなければ、前項の権利を行使することができない。ただし、保存行為は、この限りでない。