平成15年4月8日 預託金返還請求事件 第三小法廷
ポイントは?
パン田さんは、銀行口座を開設したときに通帳とカードをもらっていたのですが、通帳でもATMで預金払い戻しが出来るということを知らない状態でしたし、説明もされていませんでした。
カラス田銀行では“カード規定”という規約もあったのですが、そこにはカードを利用した場合のことしか明記されていませんでした。カードを利用した場合は暗証番号が合っていれば銀行は免責されると書いてありましたが、通帳を利用して払い戻しをされた場合については、一切触れられていませんでした。
こういった状態で、ATM(現金自動入出機)での、払い戻しについて民法478条の適用の可否が論点となった事例となります。
判決では、ATMでの払い戻しについても民法478条の適用があるとしました。その上で、今回の事例では、カラス田銀行が通帳での払い戻しについて規定に明記もしていなかったことなどから、カラス田銀行に過失があるとして払い戻しを有効とはしませんでした。
ちなみに、通帳と暗証番号だけでATMで払い戻しを受けられるところは現在でもありますが(ゆうちょ銀行など)、カードが無いと払い戻し出来ないという銀行のほうが多いのが現状です。
関連条文は?
第478条
債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限り、その効力を有する。