昭和41年4月27日 建物収去土地明渡請求事件 大法廷判決
*実際の事例では、パン田さんは「胃を害していた」とされており、胃がんであったのかどうかは不明です。また、牛田さんが焼肉屋を営業しようとした部分は創作となります。
ポイントは?
土地を借りて、その上に自分で家を建てた場合は、土地を借りた人の名義で建物を登記していれば、借地権を第三者に対抗出来るとされています。今回のマンガの事例では第三者として、新しい土地の所有者である牛田さんが出てきます。
ところが、パン田さんは借地の上の建物を息子名義で登記してしまったことから争いになってしまったのです。パン田さんは体調に問題があることから、息子名義で登記をしたほうが良いと考えてしまったんですね。そして、この息子はパン田さんと同居しています。パン田さんとしては、自分名義では無いとしても、自分名義にしなかったやむを得ない事情があって、更に同居の息子の名義なのだから借地権が新所有者に対抗出来ないのはおかしいという主張をしたのです。
判決では、借地の上の建物の登記名義は借地権者本人でないといけないと判断をしました。つまり、パン田さんは土地の新所有者の牛田さんに借地権が有効であることを主張出来ないということです。土地の上の建物の名義人が借地権を持っていると推定出来るからこそ、法律では建物を自分名義で登記することで対抗力を持つとされている訳で、他人名義の登記ではダメということです。
関連条文は?
第601条
賃貸借は、当事者の一方がある物の使用及び収益を相手方にさせることを約し、相手方がこれに対してその賃料を支払うことを約することによって、その効力を生ずる。
第605条
不動産の賃貸借は、これを登記したときは、その後その不動産について物権を取得した者に対しても、その効力を生ずる。
<借地借家法>
第10条
1.借地権は、その登記がなくても、土地の上に借地権者が登記されている建物を所有するときは、これをもって第三者に対抗することができる。