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昭和33年6月14日 商品代金請求事件 第一小法廷判決
*実際の事例では、錯誤無効以外の点についても論点がありましたがマンガでは省略しています。
ポイントは?
和解契約というのは、当事者双方が「これで解決!」と約束をするものです。一般的には「示談」と言われることもあるものですが、この和解契約には後から問題を蒸し返したり出来ないように和解の確定効が定められています。和解契約をするに至った争いごとの内容(事実関係)に錯誤があった場合に、和解契約について錯誤無効を主張出来るのか?というとこれは出来ないのです。
例えば、返済してもらうお金が100万円だと思っていて、すこし譲歩して80万円の返済で和解契約を締結したとします。でも、後になった実は返済してもらうお金が200万円もあったと判明したとしても、これは錯誤無効を主張出来ないということになるのです。争いの元になった内容は既に解決したことにしているのだから、後から蒸し返すのはおかしいという訳です。
今回のマンガの例では、和解契約をするに至った争いごとの内容に錯誤があった訳ではなく、和解契約をする前提となるイチゴジャムの価値に錯誤があったというものになります。カラス田さんからすると、イチゴジャムがとても価値の低い粗悪品と分かっていれば和解に応じることは無かったでしょう。このような場合には、和解契約は無効になるのではないかと争われたのです。
判決では、イチゴジャムの価値が高いものであるということが、和解契約の前提にあったと認めて、その価値がまったく違うものであった以上は、和解契約をする意思表示の重要な部分に錯誤があったと言えるとして、錯誤による和解契約の無効を認めました。
争いになっていた事実関係に錯誤がある場合は、錯誤無効は認められず、和解契約の前提となる事実の重要な部分に錯誤がある場合は錯誤無効が認められる場合があるということになりますので、錯誤無効が認められる場合と認められない場合について違いをきちんと把握しておきましょう。
関連条文は?
第95条
意思表示は、法律行為の要素に錯誤があったときは、無効とする。ただし、表意者に重大な過失があったときは、表意者は、自らその無効を主張することができない。
第695条
和解は、当事者が互いに譲歩をしてその間に存する争いをやめることを約することによって、その効力を生ずる。
第696条
当事者の一方が和解によって争いの目的である権利を有するものと認められ、又は相手方がこれを有しないものと認められた場合において、その当事者の一方が従来その権利を有していなかった旨の確証又は相手方がこれを有していた旨の確証が得られたときは、その権利は、和解によってその当事者の一方に移転し、又は消滅したものとする。