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民法の重要判例をマンガで解説! 国家試験対策にチェックチェック♪

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『会社から社員への損害賠償請求』をマンガで解説。 会社が受けた損害を全て請求できるの?

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『会社から社員への損害賠償請求』解説マンガ1ページ目

『会社から社員への損害賠償請求』解説マンガ2ページ目

『会社から社員への損害賠償請求』解説マンガ3ページ目

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『会社から社員への損害賠償請求』解説マンガ5ページ目

『会社から社員への損害賠償請求』解説マンガ6ページ目

『会社から社員への損害賠償請求』解説マンガ7ページ目

『会社から社員への損害賠償請求』解説マンガ8ページ目

昭和51年7月8日 損害賠償請求事件 最高裁 第一小法廷判決
*請求額の100万円は架空の設定となります。また、マンガ内での「社員」とは「株主」のことではなく「従業員」を指す用語として使用しています。

 ポイントは? 

 このマンガの事例は『茨城石炭商事事件』と呼ばれるものを元にしたものです。

 

 まず、前提の問題として事故の被害者は、事故の相手であるパン田さんではなく、民法に規定された使用者責任に基づいてパン田さんを雇用しているカラス運輸に対して、損害賠償請求が出来ます。そして、被害者に被害を弁償したカラス運輸は社員であるパン田さんに、損害を補填するように請求出来るのですが、これが【求償権】と呼ばれるものになります。カラス運輸は社用車のタンクローリーの修理費用の出費もすることになったのですが、これは【社用車を壊された=不法行為】に基づいて、社員であるパン田さんに請求することになります。

 

 損害が出たことに対して、弁償をするのは公平にも思えますが、実際のところ会社に出た損害が莫大で会社員が個人で支払うのは無理という場合もあるでしょう。また、会社が利益を得るためには、多少のリスクは受け入れるべきという考えも一理あると思います。

 

 マンガの事例ではパン田さんの過失は大きなものではなく、起きた事故も会社として輸送事業をする以上は、起こりえると想定するべきとも言えるものです。そんな場合に、会社が負った損害の全てを請求出来るのか?ということで争いになったのです。

 

 判決では、会社から社員に対して行う損害賠償請求は、会社の規模や事業内容、労働条件、勤務態度、社員の悪さの程度などの諸般の事情を考慮して、信義則上相当と認められる限度があると判断しました。つまり、損害の全額を請求することはほとんどの場合で難しいということになります。

 

 今回のケースでは、

・会社が経費節約のために対物、車両保険に入ってない
・パン田さんは前方不注意などの過失で、急停車した車にぶつかった(=過失は軽い)
・パン田さんは臨時でタンクローリーを運転していた
・パン田さんの給料も勤務態度も普通以上だった

 以上のような事情があることから、カラス運輸が社員であるパン田さんに請求出来るのは損害額の1/4が限度になるとしました。

 

 今回のパン田さんは過失が軽いというケースでしたが、別判例(ガリバーインターナショナル事件)では社員に重過失があるようなケースでも請求の限度額を1/2までとしているため、会社が負った全損害を社員に負担させるのは相当に稀なケースになると思われます。

 

関連条文は?

 

第1条
1.私権は、公共の福祉に適合しなければならない。
2.権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
3.権利の濫用は、これを許さない。 

 

第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。

 

第715条
1.ある事業のために他人を使用する者は、被用者がその事業の執行について第三者に加えた損害を賠償する責任を負う。ただし、使用者が被用者の選任及びその事業の監督について相当の注意をしたとき、又は相当の注意をしても損害が生ずべきであったときは、この限りでない。
2.使用者に代わって事業を監督する者も、前項の責任を負う。
3.前二項の規定は、使用者又は監督者から被用者に対する求償権の行使を妨げない。

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