平成8年3月19日 選挙権被選挙権停止処分無効確認等 最高裁判所 第三小法廷判決
ポイントは?
この判例は民法だけではなく、憲法の問題も絡んできます。
論点としては、
・強制加入の団体かつ、法律に基づいて設置される税理士会が政治献金をすることは法人の目的の範囲内と言えるのか?
・強制加入の団体で政治献金をするためのお金を強制的に徴収することは、憲法に定められた思想の自由を侵害するのでは?
という部分になります。
結論としては、例え税理士法の改正が目的だとしても、政治献金は税理士会の目的の範囲外であり、政治献金するかどうかは会員が自主的に判断するべきことだとされました。
ところで、通常士業団体でこういった政治活動をする場合は、強制加入の税理士会などの団体は使いません。
ではどうするかというと、加入を拒否することも出来る政治連盟として別団体が用意されているので政治連盟が政治的な活動をします。
この南九州税理士事件の起きた南九州税理士会でも政治連盟はあります(事件当時も存在しました)。政治連盟がありながら、強制加入の税理士会でも政治献金のための会費を徴収しようとした訳で、異を唱える人は出てきて当然という気もしますね。
関連条文は?
第34条
法人は、法令の規定に従い、定款その他の基本約款で定められた目的の範囲内において、権利を有し、義務を負う。
<日本国憲法>
第19条
思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。