平成15年4月18日 約定金、寄託金返還請求事件 最高裁 第二小法廷判決
*実際の事例では、資金運用をしたのはカラス田証券の関連会社です。また、大蔵省により損失保証を禁止する通達が出された後に締結された損失保証契約も存在します(通達後の損失保証契約は無効とされています)。
ポイントは?
この事件の元になった損失保証契約が結ばれた当時は、損失保証契約は禁止されていませんでした。ところが、契約が結ばれた後に損失保証契約が禁止されてしまった訳です。
このような場合に契約は無効となるのか、有効となるのか。民法では「公序良俗に反する契約は無効」と定めていますが、その公序(常識)はいつの時点を基準にするべきかということが論点となったのです。
結論としては、契約時点の公序を基準にして、問題が無ければ損失保証契約は有効としました。しかし、ここがややこしいところですが、その請求をする行為が現在の法律に抵触するということで、請求は認めないという判断がされました。
契約は有効だが請求は認めないという変則的な判決なので、意識的に結論を覚えるようにしましょう。
関連条文は?
第90条
公の秩序又は善良の風俗に反する事項を目的とする法律行為は、無効とする。