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平成25年2月28日 根抵当権設定登記抹消登記手続請求本訴、貸金請求反訴事件 第一小法廷
ポイントは?
お互いに返済義務を負っている場合に、相殺して簡単に返済を済ませることが出来るという制度があります。
分かりやすい例としては、AさんがBさんに100万円を借りてて、BさんはAさんから車を100万円で買った場合に、お互いに返済時期が来ていれば、100万円同士で相殺してしまってチャラにしてしまえるのです。お互いに返済時期が来て相殺が出来る状態になっていることを“相殺適状”と言います。
今回の事例では、カラス田さんは過払金を請求する権利を持っていました。その状態で、新しくお金を借入した訳です。このお金を借りた時点では、過払金は時効になっていません。ところが、借入金の返済が滞って一括返済を求められた時点では、過払金を請求する権利は時効になっていました。
民法には、相殺をするにあたって、「時効消滅した債権でも、消滅前に相殺できる状態になっていたら、相殺できるよ」とも書かれているのです。
ということで、カラス田さんとしては、返済が滞って一括返済を求められた時点じゃなくて、お金を借りた時点でいつでも期限の利益を放棄して、一括返済することが出来たのだから、過払金が時効で消滅する前に相殺できる状態(相殺適状)になっていたと主張したのです。
判決では、カラス田さんの主張を認めず、期限の利益を放棄出来たかどうかではなくて、実際に期限の利益を放棄していたのかどうかで判断するべきだとしました。カラス田さんは実際には期限の利益を放棄していないのですから、まだ相殺できる状態になっていなかった(相殺適状では無かった)と判断されたということです。
関連条文は?
第505条
1.二人が互いに同種の目的を有する債務を負担する場合において、双方の債務が弁済期にあるときは、各債務者は、その対当額について相殺によってその債務を免れることができる。ただし、債務の性質がこれを許さないときは、この限りでない。
2.前項の規定は、当事者が反対の意思を表示した場合には、適用しない。ただし、その意思表示は、善意の第三者に対抗することができない。
第508条
時効によって消滅した債権がその消滅以前に相殺に適するようになっていた場合には、その債権者は、相殺をすることができる。