大審院昭和7年10月6日第1民事部判決
ポイントは?
胎児はどの時点で権利能力を得るのか?が争点となった裁判です。
もしこれが胎児の時点(産まれる前)に権利能力を得ることができるとすると、カラス田と電車会社の間での示談で胎児の問題も解決したとされてしまいます(権利がある=示談もできる)。
そこで、裁判所の出した判決内容は「産まれてから事故の時に遡って権利を得る」というものです。この判断によって産まれてきた子どもは無事賠償請求する権利を得ることができたという訳です。
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「産まれてから事故の時に遡って権利を得る」 ⇒ 産まれることを停止条件として権利能力を得ることになります。“遡って権利を得る”ということは、胎児の時点でされた示談は効力が及ばないことになるのですね。
もし、胎児の内から権利を得ているとすると…
「胎児の内から権利を得ていて、死産した場合は権利を遡って失う」 ⇒ 死産が解除条件となり、遡って権利を失う。胎児の内から権利を得ているということは、胎児の時点でされた示談も有効となってしまいます(マンガの例で言えばピヨ子は産まれてから請求することが出来なくなる)。
ということになります。裁判所が採用したのは“停止条件説”となるので、無事産まれてきた赤ちゃんは事故の時に遡って損害賠償請求する権利を得たという訳です。
停止条件とか解除条件とかちょっと意味が分かりづらいですが、この判例の要旨をマンガの内容でざっくり掴んでいれば問題ないです。
関連条文は?
第3条
私権の享有は、出生に始まる。
第721条
胎児は、損害賠償の請求権については、既に生まれたものとみなす。