大審院 明治38年5月11日 第一民事部判決
*実際の事例があった当時は成年後見制度はなく、禁治産と呼ばれる制度でした。マンガでは分かりやすくするために現在の制度に置き換えています。
ポイントは?
意思能力がない人を守る制度として、成年後見制度があります。
普通に考えれば、意思能力がないのであれば成年後見制度を使えば良いのですが、意思能力がなくても何の手も打っていない人というのは結構多いです。周りの人が手続きをするのが面倒という場合もあるでしょうし、制度自体を知らない場合もあるでしょう。
では、そんな意思能力がないけども、成年被後見人ではない人がした契約がどうなるのか?が争われたのがマンガの事例です。
もし、ハムちゃんが成年被後見人であって、白ハムちゃんがその成年後見人なのであれば取消権を行使すれば契約を取り消すことが出来ます(ちなみに取り消した場合は現存利益を返還する必要があります)。
結論は、そもそもが契約自体が無効であるというものです。
そして、混同しがちな部分として、成年被後見人の行った契約は取り消すことが出来ますが、取り消すまでは一応有効なのです。“無効”というのは取り消す必要すらなく、そもそも契約が成立していない状態となります。「取消OK」ではなく「無効」なので注意してくださいね。
関連条文は?
第7条
精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く常況にある者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、未成年後見人、未成年後見監督人、保佐人、保佐監督人、補助人、補助監督人又は検察官の請求により、後見開始の審判をすることができる。
第120条
1.行為能力の制限によって取り消すことができる行為は、制限行為能力者又はその代理人、承継人若しくは同意をすることができる者に限り、取り消すことができる。
第896条
相続人は、相続開始の時から、被相続人の財産に属した一切の権利義務を承継する。ただし、被相続人の一身に専属したものは、この限りでない。