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『建築途中で請負人が変わった建物の所有権』をマンガで解説。 途中で建築者が変わった場合は誰が所有権を取得する?

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『建築途中で請負人が変わった建物の所有権』解説マンガ1ページ目

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『建築途中で請負人が変わった建物の所有権』解説マンガ4ページ目

『建築途中で請負人が変わった建物の所有権』解説マンガ5ページ目

昭和54年1月25日 家屋明渡請求事件 最高裁 第一小法廷
*実際の事例ではカラス田さんとハムちゃんの間では、建物が完成した場合の所有権は最初からハムちゃんに帰属するという契約がされていました。

ポイントは?

 パン田さんの主張は、材料を用意してそれを加工して、棟上げまでしたのだからその時点で不動産になっていて、原始的に所有権を取得したというものです。カラス田さんは、棟上げされた時点から最後の仕上げまでしたのですが、パン田さんからするとそれはパン田さんの所有する家を仕上げたというだけなのですね。

 

 理屈としては、民法242条の
「不動産の所有者は、不動産にくっついた物の所有権を取得するよ」
 という規定が根拠となっています。

 

 また、もし不動産ではないとした場合でも民法243条では
「動産と動産ががくっついたら、メインの動産の所有者のものになるよ」
 と規定されています。そのため、パン田さんは不動産になっていても、なっていなくてもどちらにしても自分のものだと主張したのです。

 

 ちなみに、「くっついた」というのは法律用語では「付合(ふごう)」と言います。

 

 判決では、パン田さんの主張は否定されて、こういう場合は民法246条2項の規定に基づいて判断することになるとしました。

 

 まず、民法246条1項では
「材料を工作して、できたものは材料を提供した人のものだよ。でも、出来たものの価値が高いなら工作した人のものだよ。」
 と規定しています。

 

 続いて、民法246条2項では
「工作した人が、材料の一部だけ出したなら、それプラス工作でアップした価値が元々の材料の価値より高かったら工作した人のものだよ」
 と規定されています。なお、条文上では“価格”とされていますが、分かりやすくするために“価値”と言い換えています。

 

 簡単に言えばこういった場合は、完成時点の価値を基準にして、価値を生み出した割合が高い人のものになるよ。ということです。結果として、最後まで仕上げたカラス田さんの生み出した価値のほうが、遥かに大きいということでカラス田さんが所有権を取得しました。なお、実際の事例では、建築された時点でハムちゃんに所有権が移る契約がされていましたので、ハムちゃんが所有権を取得しています。

 

関連条文は?

 

第242条  
不動産の所有者は、その不動産に従として付合した物の所有権を取得する。ただし、権原によってその物を附属させた他人の権利を妨げない。

 

第243条  
所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する。分離するのに過分の費用を要するときも、同様とする。

 

第246条  
1.他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という。)があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する。
2.前項に規定する場合において、加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者がその加工物の所有権を取得する。

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