昭和47年11月16日 建物明渡請求事件 最高裁 第一小法廷
*実際の事例では、カラス田さんは一部を現金等で支払い、残金を他建物・土地を提供するという契約になっていました。
ポイントは?
留置権というのは、自分が占有している物を、その物から発生した債権(売買代金など)の支払いを受けるまでは、引き渡さないで良いというものです。留置権を成立させるためには、その物を実際に占有していることと、その物から発生した債権があることが必要です。
このマンガの事例を見てみると、
・パン田さんは自分が売った家に住み続けて占有している
・住んでいる家から発生した代金の支払いを受けていない
ということで、留置権自体は成立しているということになります。あとは、留置権を第三者であるハムちゃんにまで主張できるのか?ということになる訳です。
判決では、パン田さんは留置権を第三者であるハムちゃんにも主張できるという判断をしました。留置権が物権として民法に明記されているため、第三者にも当然に対抗できるというのがその理由です。
関連条文は?
第295条
1.他人の物の占有者は、その物に関して生じた債権を有するときは、その債権の弁済を受けるまで、その物を留置することができる。ただし、その債権が弁済期にないときは、この限りでない。
2.前項の規定は、占有が不法行為によって始まった場合には、適用しない。
第296条
留置権者は、債権の全部の弁済を受けるまでは、留置物の全部についてその権利を行使することができる。