昭和50年2月25日 損賠賠償請求事件 最高裁 第三小法廷
ポイントは?
ペン美さんは、元々は不法行為に基づく損害賠償請求を行っていました。ところが、訴訟を起こした時点で、4年が経過していたため、地裁は時効になっているとしてペン美さんの請求を認めませんでした。
そして、ペン美さんは高裁から国は安全配慮義務があるとして、この義務をきちんと果たさなかったということで債務不履行に基づいて請求するという形にしたのです。
それぞれの違いは、
不法行為に基づいての請求は「悪いことしたからお金を払え!」。
債務不履行に基づいての請求は「するべきことをしていないからお金を払え!」。
という感じです。
高裁では、ペン太さんは“特別権力関係”に基づいて自衛隊員として働いていたということで、安全配慮義務違反を認めませんでした。特別権力関係をざっくりと説明すると、公権力の下で働いている人は文句を言うな!というものです。
最終的に、最高裁の判決では国の安全配慮義務違反を認めました。ということは、配慮するべきことに配慮していないという債務不履行ということになるので、時効期間は10年とされてペン美さんの請求は認められることになりました。
関連条文は?
第167条
1.債権は、十年間行使しないときは、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、二十年間行使しないときは、消滅する。
第415条
債務者がその債務の本旨に従った履行をしないときは、債権者は、これによって生じた損害の賠償を請求することができる。債務者の責めに帰すべき事由によって履行をすることができなくなったときも、同様とする。
第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。