平成23年4月22日 損害賠償請求事件 最高裁 第二小法廷
*実際の事例では、カラス田さんは債務不履行以外の理由(不法行為、詐欺取消、錯誤無効)での請求も行っていました。
ポイントは?
カラス田さんは、ハムちゃん信用組合のために500万円を出資をした訳ですが、これはハムちゃんが役所から、財務状態の改善を求められていたなどの説明を受けていたら出資は当然断っていたでしょう。
こういった契約をするかどうかの判断に影響がある重要なことを説明しないことは、不法行為なのか?債務不履行になるのか?ということが論点となったのです。
カラス田さんからすると、不法行為に基づく損害賠償請求では既に時効になってしまっているので困ってしまいます。ところが、債務不履行での請求なら時効期間は10年になるのでまだ時効になっていないということになります。
判決では、ハムちゃんによる説明義務を果たさなかったことを不法行為にしかならないと判断しました。つまり、時効は3年となるのでカラス田さんの損害賠償請求は認められないことになります。
理由としては、ハムちゃんの説明義務はハムちゃんとカラス田さんの結んだ出資契約に基づいて説明する義務が生まれるのではなく、出資契約を結ぶ前に生まれる義務なので債務不履行というのはおかしいということです。出資契約の義務として、契約のための説明義務があるというのは理屈として成り立たないということですね。
関連条文は?
第167条
1.債権は、10年間行使しないときは、消滅する。
2.債権又は所有権以外の財産権は、20年間行使しないときは、消滅する。
第724条
不法行為による損害賠償の請求権は、被害者又はその法定代理人が損害及び加害者を知った時から3年間行使しないときは、時効によって消滅する。不法行為の時から20年を経過したときも、同様とする。