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昭和57年12月17日 求償金請求事件 最高裁 第二小法廷判決
*実際の事例では、カラス田さんは200万円を支払った後に800万円の支払いもしています。800万円の支払いについてはカラス田さんはパン田さんに連絡を取ろうと努力していたことから(実際には連絡とれず)、有効な弁済とされました。また、パン田さんとカラス田さんは実際には電力会社との交渉を行っていました。
ポイントは?
この事例で問題となった連帯債務は連帯保証と似ている印象もありますが、連帯債務は連帯保証とはまた違うものです。
かなりざっくり説明すると、連帯保証というのは、その言葉通り他人の借金返済を保証するものです。それに対して連帯債務というのは、それぞれが独立して借金返済をする義務を負っているというものです。
ただ、この連帯債務は連帯債務者同士で負担割合というのがあって、その負担割合に基づいて求償が出来るようになっています。
例えば、1000万円の連帯債務をパン田さんとカラス田さんが5:5の負担割合で負っていた場合に、パン田さんが500万円を支払ったら、半分の250万円をカラス田さんに求償できるということです(全額の支払いが終っていない場合や、自分の負担割合分の支払いが終って無い場合でも負担割合に基づいて250万円の求償ができる)。
このマンガの事例では、カラス田さんはパン田さんに事前に連絡をしないで返済をしてしまっています。更に、パン田さんは既に土地をあげることで全額返済をしていたので借金自体が消滅していたんです。つまり、カラス田さんは二重弁済になってしまっていたということです。
こんなときにカラス田さんの支払った200万円をパン田さんに求償できるのか?ということで争いになったのです。
判決では、カラス田さんが返済をするのに事前にパン田さんに連絡をしていなかったことから、パン田さんとの関係では返済が無効となるという判断をしました。ちなみに、マンガでは描かれていませんが、カラス田さんは200万円の後に800万円の返済もしています。この800万円の返済のときはカラス田さんはパン田さんに連絡を取ろうと努力をしていたために、返済も有効とされました。
ついでに、カラス田さんの支払った200万円はどうなるの?という問題については、あくまでもパン田さんとの関係で無効というだけ(求償ができない)です。カラス田さんとハムちゃんの関係で言えば、ハムちゃんは余計な200万円を受け取ってしまっている訳なので、カラス田さんはハムちゃんに対して不当利得返還請求をして取り返すという手段は取れることになりますよ。
関連条文は?
第432条
数人が連帯債務を負担するときは、債権者は、その連帯債務者の一人に対し、又は同時に若しくは順次にすべての連帯債務者に対し、全部又は一部の履行を請求することができる。
第442条
1.連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たときは、その連帯債務者は、他の連帯債務者に対し、各自の負担部分について求償権を有する。
2.前項の規定による求償は、弁済その他免責があった日以後の法定利息及び避けることができなかった費用その他の損害の賠償を包含する。
第443条
1.連帯債務者の一人が債権者から履行の請求を受けたことを他の連帯債務者に通知しないで弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得た場合において、他の連帯債務者は、債権者に対抗することができる事由を有していたときは、その負担部分について、その事由をもってその免責を得た連帯債務者に対抗することができる。この場合において、相殺をもってその免責を得た連帯債務者に対抗したときは、過失のある連帯債務者は、債権者に対し、相殺によって消滅すべきであった債務の履行を請求することができる。
2.連帯債務者の一人が弁済をし、その他自己の財産をもって共同の免責を得たことを他の連帯債務者に通知することを怠ったため、他の連帯債務者が善意で弁済をし、その他有償の行為をもって免責を得たときは、その免責を得た連帯債務者は、自己の弁済その他免責のためにした行為を有効であったものとみなすことができる。