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昭和40年11月24日 所有権移転登記等請求事件 大法廷判決
ポイントは?
民法では、売買契約時に手付金を渡していた場合について、次のように規定しています。
「買い主が売り主に手付金を渡したときは、どちらかが履行に着手するまでは、買い主は手付金の放棄で、売り主は手付金の倍返しで契約解除できるよ」
この民法の条文を素直に解釈すると「どちらかが履行に着手するまで ⇒ どちらかが履行に着手したら契約解除NG」という意味になると思います。マンガの例では、カラス田さんが履行に着手していたのなら、カラス田さんもパン田さんもお互いに手付金での契約解除は出来なくなっているということになります。
そして、カラス田さんがパン田さんに売るために土地と建物を手に入れた行為が、“履行に着手した”と言えるのかどうか?という問題もあります。
判決では、まずカラス田さんがパン田さんに売るために土地と建物を手に入れた行為は“履行に着手した”と判断しました。言ってみれば、売るための商品を仕入れてきたのと同じ状態だという訳ですね。そして、履行に着手したカラス田さんから、手付金倍返しでの売買契約解除が出来るのかどうか?という問題については、手付金倍返しで契約解除OKという判断をしました。
民法の条文とは違う判断という気もしますが、条文の趣旨が「相手方に不測の損害を与えない」というものであることを前提にした判断となっています。履行に着手していないパン田さんは契約を解除されても何も損害を受けないでしょ?という状態で、履行に着手した側は履行に着手する費用を負担して、更に手付金も倍返し(又は放棄)しても契約解除したいという場合にこれを禁止する理由は無いという理屈なのです。
関連条文は?
第557条
1.買主が売主に手付を交付したときは、当事者の一方が契約の履行に着手するまでは、買主はその手付を放棄し、売主はその倍額を償還して、契約の解除をすることができる。
2.第545条第3項の規定は、前項の場合には、適用しない。