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大正5年12月22日 損害賠償請求事件 大審院第一民事部判決
ポイントは?
不法行為が成立するかどうか考えるときに要件の一つとして、過失があったのかどうかを判断することがあります。
過失の意義としては、次の二つの考え方があります。
・予見義務に違反したら過失ありとなるのか?
・結果回避義務に違反したら過失ありとなるのか?
まず、前提としてこのマンガの事例は高裁(判決が出た大正時代当時は上等裁判所)では「カラス田さんが損害を発生させることを知らなかったのなら過失がある」と判断していました。つまり、「知らなかった=過失あり」としてカラス田さんの予見義務違反を認めていたのです。
しかし、高裁ではカラス田さんが結果を回避するために何をしてたのか?もしくはしてなかったのか?は一切考慮されませんでした。つまり、カラス田さんが損害発生を回避するために色々な手を尽くしたことはどのように評価するべきなのか、それとも評価しなくてよいのかという部分で疑問が残る状態になっていたのです。
以上の疑問について今回の判決では、事業の性質にあった相当な設備を用意すれば過失があるとは言えず不法行為は成立しないとして、過失の意義は結果回避義務違反になると判断しました。
この判決結果だけをみると、公害を発生させた責任を負わない不当な判決という感じもするのですが、実際のところは高裁に差し戻されたあとにカラス田さんは「相当な設備の用意はなかった」とされて、パン田さんへの損害賠償を命じられています。
また、この判決では「事業の性質にあった相当な設備を用意すれば過失があるとは言えず不法行為は成立しない」としていますが、その後の判決の傾向としては「相当な設備を用意したから過失なし」とはなっていません。そのため、この判決を勉強するときは過失の意義として、結果回避義務の有無が重要となるという点を頭に入れておくようにしておくとよいでしょう。
関連条文は?
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。