■ブログ版ではここから結末部分は非公開となります。
判例マンガの全編はこちらで見れます♪
<androidアプリ版>
➡お得な買切版!
androidアプリ版は全判例収録でお得!
<note版(iphoneユーザー向け)>
*iphoneユーザーはnote版をどうぞ!
*note版ではこの判例は「債権編」に収録されています。
<Kindle版>
・
*Kindle版ではこの判例は「債券編」に収録されています。
平成19年7月6日 損害賠償請求事件 最高裁第二小法廷判決
ポイントは?
建物の設計・施工者は、建物を建築する以上はきちんとしたものを完成させて引渡す義務があります。とはいえ、建物は画一的に作れるものではありませんし、どうしても何らかの問題が出てくることはあり得ることです。瑕疵とまでは言えなくても、ちょっとした不具合くらいは何かしら出てくることが多いでしょう。
このマンガの事例では、カラス田さんは現在はマンション所有者ですが、マンション建築を依頼した注文者ではないという事情があります。そして、建物自体が使用できないほどの瑕疵があるわけではありませんし、牛田さんも意図的に瑕疵がある建築をして損害を与えようとしたわけでもありません。また、マンションに住む人や利用する人が実際に何らかの被害を受けたという事情もありません。建築を依頼した人に対して、設計・施工者が注意義務を負うとしても、マンションに住む人や利用する人にまで、設計・施工者は注意義務を負うのかどうかという疑問もあります。
以上のような事情の元で、牛田さんは不法行為責任を負うことになるのかどうかということで、争いになったのです。
判決では、建物は居住する人や仕事をする人、訪問する人など色々な人が出入りすることが当然の前提になっているのだから、これらの利用者に対して、基本的な安全性が欠けることがないように配慮する注意義務が設計・施工者にあるとしました。そして、その注意義務に違反していたということで、牛田さんに不法行為責任が発生すると判断しました(実際には差戻審で損害賠償が命じられた)。つまり、建物の躯体や基礎などに瑕疵があって、建物が相当危険な状態であることが不法行為成立の要件とはされず、危険が生じる可能性があるというだけでも不法行為が成立するとしたのです。判決の中では、特にバルコニーの手すりのぐらつきに関しては、利用者の転落に繋がる可能性もあると指摘しています。
関連条文は?
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。