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昭和50年10月24日 損害賠償請求事件 最高裁第二小法廷判決
ポイントは?
何らかの行為に対して不法行為責任を追及する場合、その行為が被害発生した原因なのかどうかが必要な要件の一つとなってきます。行為と被害発生に関係がなければ、不法行為は成立しません。つまり、「因果関係」があるのかどうかが大事ということになります。
マンガの事例では、パン子ちゃんは化膿性髄膜炎で入院していたのですが、快方に向かっていました。そして、ルンバール検査後に発作を起こしたのですが、元々持っていた化膿性髄膜炎が発作原因であれば、発作とルンバール検査には因果関係は無いということになる訳です。
化膿性髄膜炎が原因なのか、ルンバール検査が原因なのかを科学的に完璧に判断することが出来るのであれば、問題は簡単だと思います。ところが、パン子ちゃんの発作に関しては完璧な判断は出来ない状態だったのです。鑑定意見を多数決で見てみると化膿性髄膜炎が原因とする見解のほうが多かったようですが、ルンバール検査が原因とする見解もあったのです。
判決では、因果関係の立証にあたっては、一点の疑義も許されない自然科学的証明までは求めないとしました。因果関係の立証は、経験則に照らして全証拠を総合検討して、因果関係がある可能性がとても高いと、通常人が確信を持つ程度が要求されるとしたのです。そして、様々な事情を総合検討すると、経験則上、発作の原因は脳出血でありルンバール検査が原因であり、ルンバール検査と発作には因果関係があると判断しました。
考慮された事情は次のとおりです。
・パン子ちゃんの発作後に牛田病院でも脳出血と判断して治療している
・いくつかある鑑定結果の内、一つでは脳出血の可能性を指摘している
・脳波を見ると、病巣が脳の左部にある
・化膿性髄膜炎は治ってきてから、再燃する可能性は通常は低いとされる
・パン子ちゃんの化膿性髄膜炎は治ってきたのに、ルンバール検査後すぐに発作が発生している
以上の事情を総合検討すると、発作を起こした原因は「ルンバール検査である可能性が高い!」と通常人が確信を持つはずだという訳です。これにより、ルンバール検査とパン子ちゃんの発作には因果関係があるとされたということです。
関連条文は?
第709条
故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。