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平成23年3月18日 離婚等請求本訴、同反訴事件 最高裁 第二小法廷判決
*実際の事例では、パン美さんは不倫とされる行為について相手男性から無理やり男女関係を持たされただけだと主張しています。
ポイントは?
結婚している夫婦の間で、生まれた子どもは嫡出子と言います。マンガの事例のパン次くんは、真実はともかくとして結婚しているパン美さんから生まれているので、パン太さんとパン美さん夫婦の嫡出子ということになってしまうのです。
パン太さんが「自分の子じゃない!!」と訴えるには、嫡出否認の訴えという手段を取る必要があるのですが、これは子どもが生まれたことを知った日から1年以内という期限があります。パン太さんはパン次くんが生まれてから7年後に自分の子ではないと知ったので、嫡出否認の訴えは出来ない状態だったという訳です。
パン太さんがその他に取れる手段として、親子関係不存在確認の訴えというものもありますが、これは嫡出子と推定されない場合に利用できるもので、嫡出否認の訴えもしないで、嫡出子とされてしまっている状態では利用が難しいのです。案の定、パン太さんの親子関係不存在確認の訴えは却下されてしまいます。
そんな中でも、パン太さんは夫婦関係が破綻する前から高額な生活費を出していて、夫婦関係破綻後も高額な婚姻費用を支払っていました。当然、この中には自分の子ではないパン次くんの生活費も含まれます。
以上のような状況がある中で、パン美さんが離婚と共にパン次くんを含む子供たちの養育費を請求したのです。
法律を素直に解釈すれば、パン次くんがパン太さんの生物学上の父親ではないとしても、法律上の父親ではあるのだから、養育費の支払義務はあるという形になりそうな気がします。
判決では、これ以上パン太さんに養育費を支払わせるのは負担が重すぎると判断して養育費請求を認めませんでした。理由としてはパン次くんがパン太さんの子ではないことをパン美さんが黙っていたことで、パン太さんの嫡出否認の機会を奪ったことや、パン次くんが生まれた経緯や、これまでのパン太さんの生活費の負担具合、パン美さんが財産分与で受け取る財産などを考慮したものとなります。その上で、パン美さんの養育費請求は権利の濫用になるとしました。
当たり前ですが、パン太さんの実の子である長男と三男の養育費は認められています。
関連条文は?
第1条
2.権利の行使及び義務の履行は、信義に従い誠実に行わなければならない。
第766条
1.父母が協議上の離婚をするときは、子の監護をすべき者、父又は母と子との面会及びその他の交流、子の監護に要する費用の分担その他の子の監護について必要な事項は、その協議で定める。この場合においては、子の利益を最も優先して考慮しなければならない。
2.前項の協議が調わないとき、又は協議をすることができないときは、家庭裁判所が、同項の事項を定める。
3.家庭裁判所は、必要があると認めるときは、前二項の規定による定めを変更し、その他子の監護について相当な処分を命ずることができる。
4.前三項の規定によっては、監護の範囲外では、父母の権利義務に変更を生じない。