昭和37年4月27日 親子関係存在確認請求事件 最高裁 第二小法廷判決
*実際の事例では、双方共に認知が必要かどうかについては争っていませんでしたが、最高裁が認知の必要性について言及したものとなります。
ポイントは?
民法では、非嫡出子の認知は父だけではなく母も出来るとされています。
非嫡出子が生まれた場合の、出生届出は基本的には母がすることになります。そのため、普通は出生届出を母の立場ですることで、母の戸籍に子として入るので、母が認知をするという必要はありません。
ところが、マンガの事例では、パン美さんが自分の子どもを他人の夫婦の子ども(嫡出子)として届出をしたので、法律上はパン美さんは母親という立場になかったのです。
しかし、パン美さんがパン吉くんを出産したという事実は確かにあって、パン美さんはそれを証明することも出来ます。パン美さんが母であることを否定したいパン吉くんからすると、パン美さんは認知もしていないのだから母にはならないと主張しています。
判決では、非嫡出子と母の親子関係は出産の事実で当然に発生するとして、母の認知は原則として必要ないと判断しました。母親は認知をしなくても、出産の事実があれば法律上の親子関係があることを認めてもらえるという訳です。
ちなみに、実際の事例ではパン美さんもパン吉くんも認知が必要かどうかについては主張していませんでしたが、最高裁が見解を明らかにしたものです。判決文には「原則として」という言葉があるので、母親の認知が必要とされる例外もあるように読めますが、どのような場合が例外にあたるのかは示されていません。
関連条文は?
第781条
1.認知は、戸籍法 の定めるところにより届け出ることによってする。
2.認知は、遺言によっても、することができる。
第779条
嫡出でない子は、その父又は母がこれを認知することができる。