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昭和43年10月8日 土地建物所有権移転登記抹消登記手続(本訴)家屋明渡(反訴)請求事件 最高裁 第三小法廷判決
*実際の事例では、子どもは複数います。
ポイントは?
親は未成年の子どもの法定代理人として、いろいろな契約(法律行為)をすることが出来ます。しかし、親に子どもの代理を無制限に認めると、子どもが損をしてしまう場合も出てきます。そこで、民法には次のような規定がされています。
「親と子で利益相反する場合は、特別に別の代理人を裁判所に決めてもらわないといけないよ」
利益相反というのは、親が得をして、その代わりに子どもが損をするような場合です。
つまり、親と子どもで利益相反するような場合は、親が代理人になるのではなく、裁判所に特別に代理人を選んでもらう必要があるというわけです。
典型的な例では、相続で親と子どもの両方が相続人になるようなケースがあります。親と子どもで相続財産をわけるのに親が子どもの代理人になると、親が一方的に自分に有利な遺産分割をしてしまう可能性があるので、子どもには親以外の特別代理人を立てないといけないのです。
マンガの事例は、親が子どもの代わりに連帯保証人契約を行って、更に子どもと共有になっている土地と建物を担保(抵当権設定契約)に入れてしまい、抵当権が実行されてしまったというものです。パン太さんとパン吉くんは、連帯保証契約も抵当権設定契約も利益相反行為として、無効になるから土地も建物も返してもらうことが出来ると主張したのです。
判決では、パン太さんがパン吉くんの法定代理人として行った連帯保証契約と抵当権設定契約は利益相反行為になるため無効になると判断しました。ただし、パン太さん自身の契約は有効としました。
抵当権が実行されると、その競売代金で借金は減ることになるのでパン太さんは得をすることになり、パン吉くんは家と土地を失うので損をしてしまうことになるので、利益相反行為になるという訳です。
連帯保証契約についても仮にパン太さんがカラス田さんの借金を代わりに返済をすると、同じ連帯保証人であるパン吉くんに対して求償することが出来るようになります。更に、抵当権が設定されていれば抵当権の代位権者にもなるので、やはり利益相反になるのです。
ちなみに、現在では民事執行法が改正されてマンガの事例のように抵当権が無効になったとしても、競売代金を支払っている側は土地や家を手に入れることが出来るようになっています。
関連条文は?
第826条
1.親権を行う父又は母とその子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その子のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。
2.親権を行う者が数人の子に対して親権を行う場合において、その一人と他の子との利益が相反する行為については、親権を行う者は、その一方のために特別代理人を選任することを家庭裁判所に請求しなければならない。